久しぶりの故郷は、懐かしかったけれど、早く都会に帰りたいという気にもさせられた。それが何故だか私自身ちゃんとした答えを見出せなかったが、多分、私にとってこの地は既に過去の一部に過ぎないのだと思う。一緒に過ごした友は、もう此処にはいない。皆、夢を持ちそれぞれの場所で生きているのだ。だから、私も、自分が今在るべき場所に帰らなければという焦燥感にかられているのかもしれない。
 結局、一週間の滞在予定を大幅に短縮し、私は三日後、この町を去ることにした。年老いた両親は、向こうでも頑張りなさいと、私の背中をゆるりと後押ししてくれた。そこで、もっと親孝行をするべきなのではないかと、少しだけ後悔をしたが、私は今、駅へ向かっている。町に一つしかない、小さな小さな駅だ。
 途中、殺風景な空地の横を通りがかった。遠い遠い記憶の糸を手繰り寄せ、幼かった私を育んだものを感じ、少しだけ立ち止まった。






空地

(もう戻っては来ない過去に、少しだけ浸っていたい。)