空虚だった。
「何が?」
「僕の中身」
 深く深く潜っても、なにも見つからない。
「あ」
 気づいた。僕は何かを探しているのか。
「何を?」
「わからない」
 ただ、感じた。
「明確なものが、欲しい」
 曖昧なことは不安で仕方がない。
 そう思った瞬間、頬を伝った透明な滴。
「もうやめれば?」
 せき止められていたものが溢れた。
 いつからだろう、僕は心に鍵をかけた。
 僕を空虚にしたのは、僕自身。
 ながした涙が、僕という存在を明確にした。






Identity

(僕の存在証明をするのは、まず僕自身)